モルタル外壁について
2018年6月2日(土)
日本で窯業系サイディングについで多いのがモルタルの外壁のお家です。
モルタルの外壁ってどんなものなの?どうなの?という方に、モルタルの外壁についてお話ししたいと思います。
1.モルタルとは
モルタルの外壁は砂とセメントと水を混ぜ合わせたものをペースト状にし、下地を施した外壁にコテで塗りつけて作った外壁の事です。
ただしこのモルタルだけでは水を吸ってしまい、モルタルがひび割れてしまうので、
最終仕上げを行い、意匠性と防水性を持たせています。
1990年ころまでは主流の工法でしたが手間がかかり工期も長くなるため、窯業系サイディングに主流の座を明け渡しましたが、意匠性が高いため根強い人気があります。
2.モルタルのつくり
モルタルをいきなり外壁に付けても密着しません。
下地板の上に防水紙を貼り、ラス網と言われる金網をつけます。
この網があることでモルタルが垂直の壁に落ちることなく密着するのです。
ペースト状のモルタルは乾燥し、硬化収縮します。
ラス網には、この乾燥過程でのひび割れを発生しにくくする役割もあります。
3.モルタルの仕上げ
モルタル外壁はモルタルをコテで塗り付けた後、様々な表面仕上げをしていきます。
ここでは代表的な仕上げを紹介します。
①リシン
石や砂とセメントやアクリル樹脂と混ぜた材料を吹き付けたもので、ザラついた仕上がりになります。
そのザラつきで光を拡散させるため、艶が抑えられた落ち着きのある風合いがあります。
②吹付タイル
塗料を吹き付けて大小さまざまな粒感のある陶器質の仕上がりになります。下塗り、ベース吹き、模様吹きを合わせて3~5工程程度行う複層仕上げです。
吹き付けたままの「吹き放し仕上げ」、吹付後ローラーで均し粒の丸みを抑えた「ヘッドカット仕上げ」もあります。
③スタッコ
スタッコ材とは骨材と結合剤、水を混ぜた吹き付け材のことです。スタッコも、吹付タイル同様、「吹き放し仕上げ」と「ヘッドカット仕上げ」あがあります。
リシンや吹付タイルに比べ厚みがあり、凹凸が激しく重厚感があります。半面凹凸に、コケや汚れが溜まりやすいというデメリットもあります。
④左官仕上げ
コテや櫛目などで様々な表情を出す仕上げです。熟練の左官職人の技術が必要です。
⑤ローラー仕上げ
ローラーを用い塗料を塗っていく方法です。ローラーの毛足の長さや種類を変えることで、仕上がりも変わってきます。
4.モルタルの劣化
モルタルの外壁は、硬化し成形されます。
この硬さゆえ、ひび割れが起こりやすく、そこから水が浸入する恐れがあります。
また表面に施した仕上げ材が経年によりチョーキングを起こし、粉が付いたり、骨材の砂などが落ちたりします。
また施工時に、細かな空気を含んで塗装を行った結果、ピンホールと呼ばれる穴ができ、外壁が吸水しやすい状況に至ります。
これらの事象を見落とし放置すると、塗膜の浮きやはがれが見られる場合もあります。
5.モルタルのメンテナンス
張り替えもまれに行われますが、塗装によるメンテナンスが一般的です。
クラック(ひび割れ)部分にはシーリングを充填し、割れた部分を埋めていきます。
また、浮きやはがれの見られる場合には洗浄や、皮スキなどを用いて撤去します。
撤去した部分は、はがれの無い部分との模様を合わせ行い下地を調整します。
ここまで行ったら、シーリングや、下地調整部分が目立たないよう、全体に塗装を行いましょう。
塗装を行うことで、全体の美観も整い、防水性も高まります。
メンテナンス時期は建物の作りや環境により異なります。
触って粉が付くチョーキング現象や、クラックの発生が見られたらプロによる診断・メンテナンス提案を受けると良いでしょう。