サイディングはいつ補修すべき？費用や工事内容を解説

サイディングは、住宅の外壁材として広く使われている素材ですが、劣化には非常に敏感です。そのため、定期的な補修工事が必要となることも多いです。そんなサイディングに、どんな症状が出たら補修が必要なのか、また補修にはどれくらいの費用がかかるのか、悩む人も少なくありません。

この記事では、サイディングの劣化症状ごとに、具体的な工事内容と費用について詳しくご紹介していきます。さらには、DIYでできる補修方法もご紹介しているので、手軽におうちのケアができるかもしれません。サイディングの補修について詳しく説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。

サイディングとは

サイディングとは、外壁の素材の一つで、外観や防水性を向上させるために使用される塗装ではなく貼り付けるタイプの素材です。サイディングは多くの家や建物で使われており、その特徴は耐久性、耐候性、耐火性などさまざまです。

一般的にはプラスチック系やセメント系の素材が使われており、サイディングを使用することで建物の外観を美しくし、同時に外部の悪天候から建物を保護することができます。また、サイディングは比較的取り付けが容易であり、お手入れも簡単です。

しかし、今回の本題のように、サイディングは劣化しやすいというデメリットがあり、定期的な補修工事が必要になります。サイディングは劣化すると、ひび割れや浮き、塗装の剥がれなどが表れますので、症状に合わせた補修をしなければいけません。

この状態ならサイディングを補修すべき！劣化のサインとは

はじめに、サイディングの劣化症状について詳しく解説していきます。劣化を放置すると、さらなる損傷や雨漏りといったトラブルが発生してしまいます。では、どのようなサインがあれば補修が必要なのでしょうか？あなたの外壁がこのような症状になっていないか一度チェックしてみてください。大きなトラブルになる前に確認しましょう。

サイディングにコケやカビが生えている

まず外壁のサイディングにコケやカビが生えていたら、劣化状況の初期段階です。それほど深刻な状況ではないので、まだ外壁としての機能は衰えていません。コケやカビが生えているのを発見したら、水で洗ったり軽くスポンジで擦ったりするといいでしょう。ただし、強く擦りすぎると、塗膜がはがれてしまったり、傷つけてしまうことがあるので、注意が必要です。

サイディングが色あせている

新築の時はキレイな色をしていた外壁も、時間が経てば色が褪せて変色してきてしまいます。サイディングに塗装した塗料や日の当たり具合によっても色の褪せ方が変わってきます。また、施工不良の場合でも色褪せが発生することもあります。

色褪せを放置すると、見栄えが悪くなるほか、防水性や耐久性も落ちてきてしまうので、色褪せが出てきたなと思ったら、塗装を検討することをおすすめします。

サイディングを触ったら白い粉が付く（チョーキング現象）

チョーキング現象とは、サイディングの表面を触ったら、白い粉が付く現象のことを言います。これはサイディングの塗膜が劣化して起こる現象で、白い粉が付いたら、上から再塗装をすることで現象を抑えることができます。

サイディングにひび割れが起きている

塗膜やシーリングのひび割れ

まず、サイディングの塗膜のひび割れが見られる場合は注意が必要です。ひび割れが幅0.3mm以下であれば、塗装による補修が可能です。次に、シーリング（コーキング）のひび割れも重要なサインです。シーリングの劣化が進むと、雨水の浸入や断熱性の低下が起こりますので、早めの補修が必要です。

サイディング材自体のひび割れ

また、サイディング材自体のひび割れにも注意が必要です。ひび割れが幅0.3mm以上の場合、ひび割れ補修や部分的な張り替えやカバー工法（重ね張り）を検討したほうがいいでしょう。

サイディングが欠けている、剥がれている

サイディング材の欠けや剥がれも補修が必要なサインです。欠けや剥がれがある場合も、部分的な張り替えや全面張り替えを検討したほうがいいでしょう。欠けや剥がれを見つけたら早めに塗装会社や業者にお問い合わせがおすすめです。

サイディングが浮いている、反って凹んでいる

さらに、サイディング材の浮きや反りも補修が必要なサインです。外部からの圧力や劣化によって生じる浮きや反りは、早期に修理することで損傷の拡大を防げますので、よく注意してみてください。

なぜサイディングが劣化するのか？劣化の原因とは

サイディングは、金属系サイディングの場合経年劣化が起きにくいと言われていますが、ある条件を満たしてしまうと、どうしても劣化は発生してしまいます。その原因を解説していきます。

立地が原因

劣化の原因の1つとして立地が挙げられます。特に海に近い場所に住んでいる家の場合、潮風が外壁に当たり、サビが発生してしまう可能性があります。また、寒冷地では、結露が生じやすく、その影響で欠けてしまうこともあります。

施工した塗装会社が原因

サイディングは正しい施工を施さないと、早く劣化してしまいます。例えば、下地処理が不十分だった、下塗り材を使い分けていなかった、塗りが甘い、いい加減な施工をしていたなどが挙げられます。そうなると、サイディングの剥がれや欠け、色褪せなどが発生します。悪い施工会社には当たらないようにしましょう。

雨水と乾燥が原因

雨水の浸透を防ぐために、サイディングには塗装を施しておりますが、年数が経ってくると、塗装がはがれて防水性能が落ちてしまいます。その間に激しい雨や乾燥を繰り返すと、劣化が出てきてしまいます。塗装することは劣化を防ぐことにつながるので、定期的に塗装してあげましょう。

サイディングの補修方法

では、次にサイディングの補修方法について解説していきます。サイディングの劣化は放置せず、適切な補修を行うのが吉です。ですが、上記のような劣化症状が見られたらどのようにしたらいいのかわからない方が多いかと思います。これからご紹介するやり方は、ご自身でできる方法もあれば、塗装会社にやってもらった方がいい方法もあります。ぜひ参考にしてみてください。

自分で補修できるやり方

サイディングの補修には専門の業者に依頼することもできますが、軽度な補修であればDIYでも対応可能です。

ひび割れ、クラックを補修する方法

サイディングに少しのひび割れや小範囲のクラックで収まっている場合、ご自身で補修できることがあります。このくらいで業者を呼ぶには費用がかかるかも…と思う方は次のやり方を試してみてください。

使うのは、「アサヒペン　手絞りできるワンタッチサイディング用補修材」です。この商品でなくても、ひび割れ補修材が色々あると思うので、使いやすいものを選ぶといいでしょう。

このような補修材を使えば、DIYが苦手な人でも絞って塗るだけでできるので、とても簡単に補修ができます。サイディングの種類によっては使えない補修材もあるので、注意事項をよく読んで取り扱うようにしましょう。

シーリング補修する方法

部分的にシーリングを補修するのであれば、ご自身でも補修が可能です。補修には「打ち替え」と「増し打ち」の2パターンがありますが、ご自身でやるなら「増し打ち」の方が失敗が少ないでしょう。ひび割れの補修と違って、使う材料や工程が増えて、少し難易度が上がりますが、挑戦してみたい方はやってみてもいいでしょう。

用意するのは、「軍手」「マスキングテープ」「シーリング材」「コーキングガン」「シールプライマー」「ハケ」です。

シーリングの汚れを取り、マスキングテープで目地の周りをカバーし、プライマーを塗って乾かし、シーリング材を打って、ヘラで均して、マスキングテープを剥がして、乾かしたら完成です。

このやり方は難しくめんどうなので、塗装会社に頼んだ方がキレイにしっかり仕上がるので、できる人だけやってみてください。

自分でやる方法は安く済むが注意が必要

サイディングの補修は、ホームセンターやインターネットで材料をそろえてしまえば、自分で補修することができますが、適切な材料選びをしないと、その後塗装工事をする場合に塗料が付着しない恐れがあります。自己判断だけで補修を行うと、劣化を悪化させてしまったり、うまく補修ができなくて余計変になってしまったりもしかねません。また、外壁は高所での作業もあるでしょう。その際に足場が悪く、滑って転倒したりする危険性もあります。

質の高い施工で、安全に確実に補修を行うにはプロにお願いする方がいいかもしれません。

塗装会社に依頼するやり方

自分でできる補修のやり方をご紹介しましたが、それはあくまで応急処置でしかありません。とりあえず補修したから大丈夫でしょと思わず、1年以内には、専門の塗装会社に点検してみてもらうことをおすすめします。

では、塗装会社に依頼するときの補修の工事内容や費用をご紹介します。

＊足場を組む場合には、別途足場設置費用がかかります。

サイディングの部分補修

サイディングの補修部分が全範囲ではなく、小さな範囲だったら、部分補修で完了します。サイディングの劣化状況でいうと、ひび割れや反り、部分的な色褪せなどが挙げられます。これらの症状に対して、補修材を打ち込んだり、ネジを打って補修したり、塗装したりする作業を行います。

部分補修は、外壁の劣化状況や範囲によって費用や作業内容も変化するので、プロに聞いてみましょう。

外壁塗装で補修

外壁塗装をするのもサイディングを補修する方法の1つです。塗る面積や選ぶ塗料によっても工事費用が変わってくるので、塗装会社には要確認です。

外壁塗装をすることによって、サイディングの補修ができるだけではなく、外観が新築のように見違えるほど美しくなるので、一石二鳥です。

部分張り替えで補修

一部だけ張り替えるということもサイディングでは可能です。サイディングは複数の板を貼り合わせてできている外壁なので、部分張り替えが可能になります。部分的に張り替えるので、そこだけ新品で浮いて見えることもあるかもしれないので、よく考えてやるようにした方がいいでしょう。

シーリング補修

シーリングの補修には、前にもお伝えした通り、2パターンあります。「打ち替え」の場合、古くなったシーリングを取り除いて新しいものを打つので、少し費用が高くなりますが、劣化した部分がなくなるので、安心です。「増し打ち」の場合、既存のシーリングの上に新しいものを打つので、安くはなりますが、劣化した部分が残るので、劣化具合によっては打ち替えにした方がいい場合もあります。

カバー工法で補修

カバー工法は、既存の外壁サイディングの上から重ねて新しいサイディングを貼る工程になります。重ねて張るため、外壁が重くなり耐震性が低くなることもあるので、サイディングを選ぶ際は、軽量のものを選ぶといいでしょう。

張り替えで補修

張り替えは劣化したサイディング全面を剥がして新しいサイディングを貼りなおす工程になります。一度全部剥がすので、サイディングの下にある断熱材や防水シートの補修も一緒に行え、一段と性能がアップします。補修工事の中で一番費用がかかる内容ですが、張り替えることでより長く保つことができます。

種類ごとのサイディング補修時期

では、いつサイディングの補修をすればいいのかについて解説していきます。補修の目安は以下の表をご覧ください。

サイディングは一般的に耐用年数が40年と言われていますが、40年ずっとそのままで放置すればいいというわけではありません。ある程度の年数が経ったら点検を行い、メンテナンスをしてあげましょう。補修費用は、補修内容や範囲によって異なるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。サイディング補修をきちんと行い、建物を長持ちさせましょう。

窯業系サイディングの補修

窯業系サイディングは、丈夫で長持ちするサイディングと言われていますが、雨風、日差しに当たり続けていると、劣化が起こってきます。特に、セメントや繊維質の原料で作られているので、吸水や乾燥を繰り返すと、浮きや反りが起こりやすくなります。その場合には、部分補修や張り替え、カバー工法などで補修をしましょう。

金属系サイディングの補修

金属系サイディングは、スチールやアルミ、ステンレスなどの金属でできたサイディングになりますが、同じくメンテナンスが欠かせません。特に、スチール（鉄を主成分とした鋼製）の場合、水に弱いので、早くて7〜10年の間で劣化しサビが起こってしまいます。

また、人気のガルバリウムもこの金属系サイディングに含まれ、ガルバリウムもまた切断部分の小口から錆びてしまうことがあるので、要注意です。

木質系サイディングの補修

木質系サイディングは、天然の木材を使用している場合、カビやシロアリ被害による劣化に注意が必要です。シロアリに襲われたら、外壁だけでなく、家を支える土台や柱も食い尽くされ、ボロボロになり、建て直す必要も出てきてしまうので、注意しましょう。

木質系サイディングを選んだ方は、美しい見た目や耐久性を保つために、こまめに点検をすることをおすすめします。

樹脂系サイディングの補修

樹脂系サイディングは、日本でまだあまり見かけないサイディングになりますが、凍害や塩害に強いサイディングです。また、樹脂系サイディングは、サイディング同士をつなぎ合わせるシーリングが不要なので、シーリングの劣化を心配する必要はありません。高性能なサイディングなので、劣化の心配が少ないですが、原料の性質上、気温の変化によって膨張したり伸縮したりするので、注意が必要です。

補修を放置すると起こるサイディングの症状

サイディングの補修時期や補修方法などを解説してきましたが、お金がない、めんどくさいという理由から放置してしまう方も少なくありません。ですが、放置は絶対にしないでください。劣化したサイディングを放置してしまうと、どのようなことが起こってしまうのか、解説していきます。

家の内部まで腐食されてしまう

サイディングの劣化が進むと、ひび割れから雨漏りが起こる場合があります。その雨漏りが原因で、外壁内に雨水が浸透し、構造体の内部にまで到達してしまうと、腐食が起こります。具体的には、断熱材にカビが生えて、断熱性能が失われてしまったり、構造体の木部に雨水が浸透し、腐って耐震性の強度が落ちてしまうなどのリスクがあります。

最悪の場合には、大規模な工事や建て直しが必要になり、高額な工事費用を請求されかねないので、放置しておくのは非常にリスクが高いです。

家の寿命が短くなる

住宅の寿命は定期的にメンテナンスや点検を行っていれば、何十年も長く安心して住むことができます。しかし、劣化を放置していると、長く住み続けることができなくなってしまいます。子どもや孫の代まで住み続けられる家にしたいのであれば、定期的に外壁のメンテナンスは行っておいた方がいいでしょう。

体にアレルギー反応が出る場合も

サイディングの劣化を放置し続けると、ひび割れから、雨漏り、カビの発生、構造体の腐食などによって、家の中の空気が汚染され、最悪の場合アレルギー反応を引き起こしてしまう可能性もあります。くしゃみや喘息、発疹などの症状が出てしまうので、変化に敏感な小さなお子様やご高齢の方と一緒に暮らしている方は特に注意しましょう。

放置しても直らない

劣化したところを補修するのに工事の費用がかかったり、業者を探したりする手間があるので、できるだけ先延ばしに、やりたくな方向に行ってしまう方もいるかと思いますが、サイディングはほったらかしにしていても直ることはありません。放置すると、外壁の状態が悪くなるだけなので、時間が経過してしまう前に、早めに修繕をしましょう。

サイディングを補修するときの塗装会社選び注意点

最後に、サイディングの補修をお願いする塗装会社を選ぶときの注意点をご紹介します。

複数の会社から見積りを行う

はじめから1つの会社に絞って依頼するのはあまりおすすめしません。2〜3社の良いなと思う塗装会社をピックアップし、見積もりを出してもらいましょう。複数の会社から見積もりを出してもらうことで、何が妥当で何がおかしいのかに気づくことができます。

悪徳業者に引っ掛からないためにも、必ず複数社から見積もりを取りましょう。

訪問の塗装会社は要注意

たまに訪問してくる塗装会社がいるかと思いますが、一概には言えませんが、あまりおすすめしません。訪問営業を行う会社は、営業をしなければ経営が成り立たない会社が多く、いい塗装会社であれば、営業をしなくても依頼が来ます。また施工範囲を広く設け、遠方から訪問営業に来ている会社は、打ち合わせや、アフターサービスがおろそかになりがちです。注意しましょう。

実績があるか？施工事例の確認

サイディングの補修を頼む際には、必ずサイディング補修をしたことがある塗装会社に依頼しましょう。補修といっても、上記で紹介したように、劣化状況によって施工すべき工事内容が異なるので、経験がある塗装会社を選ぶようにしましょう。

補修のやり方が悪いと、さらに悪化させてしまったり、余計な工事費用がかかってしまう場合もあるので、注意しましょう。

費用とのバランス

塗装会社は悪質な業者も中にはいます。あからさまに安すぎる価格で施工ができると謳っている会社もある場合があります。適切な費用でない場合、施工が終わってから追加費用を請求されたり、安い費用だから質の悪い施工を行われることもあります。施工内容や品質、工事費用とそれぞれのバランスをよく見て判断するようにしましょう。

安いからと言ってすぐに決めてしまうのは要注意です。

アフターフォローがしっかりしているか

サイディングに問わず、外壁は定期的なメンテナンスや補修、点検が必要になります。ですので、補修を行った後のアフターフォローも充実しているかどうかが重要になります。また、施工不良などがある場合には、すぐに対応してくれる塗装会社がいいでしょう。

さらに、保証や定期点検が充実している会社は長く安心でき、任せることができるので、保証内容や詳細をしっかりと目を通すようにしましょう。

口コミや評判を確認

信頼できる業者を選ぶためには、実績や口コミをチェックすることが重要です。見積もりや接客、対応が良いなと思った会社でも、口コミや評判をみると、悪く書かれている場合があります。口コミや評判も誰が書いているのかわからないので、真実はわかりかねますが、自分がいいと思っていても本当は悪い会社だということもあり得ます。口コミや評判を事前に確認しておくことで、業者選びに失敗する確率が下がるので、事前にチェックしておきましょう。

まとめ

この記事では、サイディングの劣化症状ごとに必要な工事内容と費用について詳しくご紹介しました。さらにはDIYでできる補修方法も紹介していますので、手軽に自宅のケアができるかもしれません。

大切なマイホームを守るためには、適切なタイミングでの補修が必要です。放置すると劣化が進行し、最悪の場合は外壁の修理が必要になります。この記事で解説した補修方法や費用相場を参考にしながら、早めの対処を心がけましょう。

また、補修作業には専門の業者に依頼することも一つの選択肢です。信頼できる業者を選ぶためには、信用できる口コミや実績を確認することが重要です。業者選びのポイントも解説していますので、合わせて読んで参考にしてみてください。外壁のサイディング補修は、家の美観や耐久性を保つために重要な作業です。ぜひこの記事を参考にしながら、適切な補修を行い、安心して暮らせるマイホームを維持していきましょう。