足立 愛子
妹島和世さんのTV御出演を見て思うこと
2025年9月6日(土)

9月5日、NHKの朝の情報番組「あさイチ」に妹島和世さんが出演されました

ざっくばらんにお話しされる、おしゃれで素敵な方ですが、実はすごい人

建築界のノーベル賞「プリツカー賞」を受賞された方です

日本人女性として初めて、かつ、ただ一人の受賞者です

番組内で、香川県の「あなぶきアリーナ香川」が取り上げられました

妹島さんと西沢立衛さんとの建築ユニットSANAAの作品です

代表作金沢21世紀美術館に似た思想で、建物内に交流広場を設けることで自由な出入りを可能にし、さらに建物と周囲の広場との一体感を重視した設計思想が貫かれています

作品設計の過程で、何個も模型を試作して完成へ導いたことも、実際の模型を見ながら教えてくれました

2DのCAD設計で時間が止まっている私にとっては、建築は立体で空間・環境を考えるものであることを再認識

建築ってやっぱいおもしろい!

 

妹島さんは伊藤豊雄氏の下で設計士としての歩みをスタート

30歳で独立、それでも仕事がなかなかなくて苦労されたそうです

転機となっったのは、1991年の再春館製薬女子寮のコンペ

そこから、いろいろなコンペに声をかけてもらえるようになり、

そこからは21世紀美術館や

フランスのルーブル・ランス

ニューヨークのニューミュージアム

などの快進撃につながっていくのですね

 

番組内では、この11月完成予定の台中緑美図(タイチュン グリーン ミュージアムブラリー)という、美術館と図書館が融合した台湾の公共建築の紹介がありました

※ミュージアムブラリーとはこの美術館と図書館を融合させる建築プロジェクトの中で生まれた造語です

SANAA史上最大の建築だそうで、21世紀美術館やあなぶきアリーナ香川とは違い縦方向に広がりのある建物です

美術館と図書館という目的の違うものが一体になるよう各所で美術館、図書館の行き来ができるようになっており、さらには周辺の公園とも一体感がもてるようになっています

この一体感というのは、人の動きのイメージ力がなせる技ですねー

妹島さんの設計は、自由に人が動くことが前提になっていて、押し付けがましさのない柔らかな建築へのアプローチがあり、そこがとてつもなく魅力的です

 

番組の冒頭で妹島さんは住宅も公共建築も人の生活があるという意味で同じだということを言って見えました

また妹島さんの住宅の暑さ対策への考え方

①足元に風が通るようにする

②建物周囲に土を残す→風の温度が変わる

③軒をだす

つまりは日本の昔からの家の作り方を見直すことになるとのことでした

 

建築には歴史があり、そこに生活する人がいる

それを踏まえて、人の動きと建物の機能を融合させる妹島さんの建物は、柔和であたたかみのある妹島さんの人格そのものなのかもしれないと思いました