劇団四季『ゴースト&レディ』──舞台の完成度に打ちのめされました
2025年5月17日(土)

2025年5月17日(土)
正直に言って、僕はこれまでミュージカルにも劇団四季にも、そこまで強い興味があったわけではありません。
でも昨日、劇団四季の『ゴースト&レディ』を観劇して、その考えはガラッと変わりましたね。
2時間以上の終演も、気づけばスタンディングオベーションでした!
「舞台って、ここまで完成度が高いものなのか」と、ただただ圧倒されました。
圧巻の演出と演技力
まず驚いたのは、俳優さんたちの声
声量、響き、抜け、感情の込め方、どれをとっても素晴らしく、セリフのひとつひとつが全身に響いてくるような感覚でした。
生の声の迫力というのは、録音では絶対に再現できないものがありますね。
そして演出。光と音、俳優の動きが驚くほど緻密に連動していて、「どうしてここまで合うんだ?」と思いました。
一つひとつの動作がタイミングぴったりで、舞台全体が“生きている”ように感じました。
これはとてつもなく綿密なシナリオと稽古の積み重ねの賜物なのでしょう。
緊迫感と“生もの”としての舞台
舞台を観ていると、とにかくこちらが緊張してしまいます。
・少し間が空くと「セリフを忘れたんじゃないか?」
・激しいダンスでは「隣の人とぶつからないだろうか」
・階段を降りるシーンでは「スカートを踏んで転ばないか?」
そんなハラハラドキドキ感が何度も押し寄せてきました。
舞台はやはり“生もの”。
その場で演者と観客が共有する緊張感が、テレビや映画では絶対に味わえない魅力です。
さらに言えば、「もし今、携帯電話が鳴ってしまったら…」という怖さも。
もちろん僕はしっかり電源を切ってカバンの奥底にしまっていましたが、
あまりに緊迫した場面になると、ふと「大丈夫かな…」と不安になるくらいの空気感がありました。
それだけ、この舞台が一瞬たりとも壊してはいけない、繊細で完璧な世界を作っていたということです。
観客の“姿勢”も問われる舞台芸術
会場に入ってから、直前、休憩、上演中と感じたのが、観客のマナー意識の高さでした。
・頭を揺らさない
・携帯電話は完全にオフ。画面をつけるのも厳禁
・体は椅子の背もたれにしっかりとつけ、できるだけ動かない
いつものロックバンドのライブでは、むしろ体を揺らし、手を挙げ、声を張り上げ盛り上がるのが常識ですが、
この“静けさ”には最初少し戸惑いました。
でも舞台が始まると、その理由がはっきりと分かりました。
観客全体が舞台に集中し、俳優の息遣いや細やかな演技に心を寄せている。
その一体感の中にいると、自分も舞台の一部になっているような感覚すら覚えます。
ミュージカルというものを好む方の「質の高さ」も感じました。
隣の人のことを思いやり、静かに舞台に向き合う。そういう人たちが集まっている空間が、とても心地よく、気持ちの良いものでした。
カーテンコールに見るプロの矜持
さらに驚いたのが、カーテンコール。
カーテンコールとは終幕後に観客が拍手喝采し、いったん退場した出演者を舞台に呼び戻すこと。
ロックバンドのアンコールとは少し意味合いが違いますが、それでも1~2回ですが、この日はなんと4回もありました。
「何回出てくるんだ!?」と最初は思いましたが、それが普通だと仲間が言ってました。
これはただのサービスではなく、観客への深い感謝、そして一緒に舞台を創り上げたことへの誇りと喜びの表現なのだと。
最後は会場全体がスタンディングオベーション。
惜しみない拍手が鳴り止まず、感動がいつまでも残るエンディングでした。
劇団四季の凄さとは
劇団四季は1953年に創設された日本を代表する演劇集団です。
全国に専用劇場を持ち、年間観客動員数は300万人を超える規模。
誰もが知る『ライオンキング』『アラジン』『オペラ座の怪人』などの名作を、日本語で、そして本場に匹敵する完成度で届けています。
演者は完全実力主義。年功序列もなければ、コネもなし。
舞台に立ち続けるには、実力と日々の鍛錬が求められます。スタッフのレベルも極めて高く、音響・照明・舞台装置といった全てが“プロの中のプロ”。
つまり「舞台を芸術として極めている」集団が劇団四季なのです。
今回観た『ゴースト&レディ』はオリジナル作品でありながら、まるで長年愛されてきた名作のような完成度。
日本でここまでの舞台が観られるということに、素直に誇りを感じました。
ミュージカルは、舞台と観客が共に創る芸術
舞台は、演者と観客が共に作り上げるもの。
それを今回、心の底から実感しました。
ロックバンドのライブとはまったく違うスタイル。だけど、そこには共通する“熱”がある。
違うからこそ、新鮮で、深く心に残りました。
もし、これまでミュージカルに縁がなかった方がいたら、ぜひ一度、劇団四季の舞台を体験してほしい。
音楽でも映画でも味わえない、まったく新しい感動が、きっとあなたを待っています。
名古屋劇場は2025年8月31日(日)までです
絶対におすすめです! 一流に触れる絶好の機会だと思います!