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失われていく丹下建築
2025年8月23日(土)

2025年8月23日(土)
高松市に住んでる人、あるいは建築好きなら一度は見たことあるはず
あの海に浮かぶ船みたいな、独特な形の建物
そう、丹下健三さん設計の旧香川県立体育館、通称「船の体育館」のことです
残念ながら、この独創的な建物が、解体されることが決まってしまいました
老朽化と耐震性の問題が理由だそうで、香川県は2025年度の予算に解体費用として約10億円を計上したとのこと
この決定には、国内外から「もったいない!」「日本の宝なのに!」と、たくさんの反対の声が上がっています
特に、地元の建築家たちが「お金は民間から集め、なんとか残せないか」と、ホテルや交流施設に再生する提案をしました
これが7月23日のこと。
それでも8月18日には香川県知事が「解体を先延ばしにすることはできない」と解体工事を進める姿勢を示し
8月22日、高松市市長が「解体はやむを得ない」と会見
安全が第一、維持管理費の見通しなど、行政側の立場もわかりますが、なんとも残念
しかし、国際的な近代建築の保存活動を行う団体・ドコモモが解体の見直しを求める要望書を25日に提出の予定です
また、旧香川県体育館再生員会が3万筆以上署名をの集め、26日に保存活用の議論の場を設けることを求める記者会見を行うとのこと
私としてはこの動きになんとか保存再生の方向にならないか、と期待していますがどうでしょうか
この建物の設計者・丹下健三氏は日本を代表する建築家です
代表作は挙げるときりがありませんが、国立代々木競技場や広島平和記念資料館・平和記念公園、香川県庁舎など
東京お台場のフジテレビ本社ビル(球体が乗ったビルでシンボリックですよね)も丹下氏の設計です
以前のブログでは、丹下氏設計の現・墨会館を紹介させてもらいました
丹下氏の研究室にはこれまた有名建築家の磯崎新や、槇文彦、黒川紀章といたが在籍しており、丹下氏の設計思想が大きく影響したのではないかと想像します
そう考えると、現在の日本建築の主軸とも根幹ともいえる人物なのではとないでしょうか
その丹下健三氏が設計した船の体育館
一度見たら忘れられない形状、竣工から60年以上が経過した今でも古さを感じない斬新な外観です
これは国立代々木競技場と同じ、世界的にも珍しい「つり屋根構造」を採用しているからこそできた形
代々木競技場は国の重要文化財になっているのに、どうして同じ丹下さんの作品である高松の「船の体育館」は、このまま壊されてしまうのか…。
お金があっても、新しい技術があっても、一度壊してしまったら二度と元には戻せません
この「船の体育館」が本当に解体されるのか、保存に向けてのムーブメントが起こるのか、
今後もこのニュース、しっかり追いかけていきたいと思います