平田 京子
こんな時どうする?気持ちを守るためのコミュニケーション術〜ストレスをためない思考法と巻き込まれない会話術〜
2025年7月7日(月)

あなたの職場での一番のストレスは、なんですか?

もしかして気分屋の上司に振り回されていませんか?言うことがコロコロ変わって、都合よく「そんなこと言ってない」と言い切られてしまう――。

もしかしたらその人は「自己愛パーソナリティー障害」なのかもしれません。モラハラやセクハラなど、ハラスメントをしてしまう人の多くが、こういった傾向を持っているといわれています。

本記事では、そんな相手に巻き込まれず、自分を守りながら働く方法を、実例を交えて詳しく解説していきます。

決してあなたのせいではありません。正しく理解し、冷静に距離を取るコツを一緒に学んでいきましょう。



◆ 自己愛パーソナリティ障害とは?

DSM-5(アメリカ精神医学会の診断マニュアル)に定義されているパーソナリティ障害の一つです。特徴的な傾向には以下のようなものがあります。

※注意:すべての「自己愛が強そうな人」がNPDというわけではありません。傾向がある、という捉え方が大切です。


◆ 職場での接し方:基本の5原則

1. 感情的に対立しない

批判されると攻撃的になりやすいため、「正しさ」で対抗しないことが大切です。

NG:それは違うと思います
OK:そういう考え方もありますね

2. 深入りしない・親しくなりすぎない

優しさや共感が裏目に出て、依存されたり利用されることも。

3. 上手に“立てる”

軽い賞賛や同意で相手の承認欲求を満たすことで、関係がスムーズになることも。

4. 記録を残す

後から「言った/言わない」問題を避けるため、メールや日報などで記録を。

5. ひとりで抱え込まない

メンタルが辛い時は、信頼できる人に相談を。構造的な問題として冷静に見る癖を。


◆ 巻き込まれない会話術(シーン別例)

▼ 自慢話が止まらない

OK:へぇ〜、努力されたんですね
OK:また聞かせてくださいね

▼ 他人の悪口を言ってくる

OK:そういうふうに見えることもあるんですね
OK:それぞれ考え方がありますもんね

▼ 意見を押しつけてくる

OK:参考になります。ちなみに私はこうも考えました
OK:なるほど。ちょっと考えてみますね

▼ 手柄を奪われそう

OK:この資料作成、私も〇〇の部分を担当しました
OK:次回も同じ役割でお手伝いしますね

▼ 見下されるような発言をされた

OK:そういうふうに感じられたんですね
OK:ありがとうございます。いろんな見方がありますね


◆ 上司が自己愛的な人だった場合

・期待には部分的に応える

「できる範囲で努力します」で十分。

・間違いを指摘する場合は柔らかく

NG:それは違います
OK:そういうご意見もありますね。ちなみに私は…

・機嫌が悪いときは距離を置く

反応しすぎず、必要最低限のやりとりにとどめましょう。

・成果・対応は記録しておく

「自分を守る最大の盾」になります。


◆ ストレスをためないための思考法 5つ

  1. 「この人は病気かもしれない」と一歩引いてみる
    「性格が悪い」ではなく、「特性」なのだと捉える
  2. コントロールできるのは自分だけ
    相手を変えようとせず、自分の行動を丁寧に選ぶ
  3. 反応しない=賢い対応
    感情的に巻き込まれない。聞き流す力を育てる
  4. 期待に応えないことも必要
    「応えないと嫌われる」という思い込みを手放す
  5. 毎日、自分をねぎらう
    「今日もがんばった」と自分に声をかける習慣を

◆ まとめ

自己愛傾向のある人と接するには、次のような姿勢がとても大切です。

あなたがストレスを感じているのは、あなたが弱いからではありません。
それだけ誠実に人と向き合っているからです。

無理せず、自分の心を大切に。
小さな防御の積み重ねが、あなたを守ってくれます。